借金苦と返済相談・債務整理

自己破産による債務整理

 06-01 自己破産について知る

自己破産は、債務整理の方法の中で唯一借金を帳消しにできる方法です。その他の方法では整理後も返済を続ける必要がありますが、自己破産の場合、裁判所の免責決定を受ければ、その後は借金の返済義務がなくなります。
自己破産で債務を整理した場合、日常生活に必要な家財道具を除いた財産など失うこともあり、誤解やデマによって暗いイメージを持つ人が少なくありません。しかし、現金ならば99万円以下、その他は20万円以下であれば手放す必要もありません。整理後に得た収入も自由に使えることができるので、これまでの生活を悔い改めて、新たにスタートすることができます。
免責の決定を待つ間は、弁護士や公認会計士、税理士などの資格が認められず、会社役員や保険外交員などに就くことにも制限が加えられますが、自己破産しても外部に広く知られることはないので、これまで通りに働くことに支障はありません。職場に知られてしまった場合も、それを理由に解雇することは認められていません。5年~7年は新規でクレジットカードを作ることができず、新たなローンを組むこともできません。信用情報機関に事故情報として記録されてしまうからです。転居や旅行なども裁判所の許可がない場合は認められない居住制限も長期に渡って受けます。また、保有している財産を自由に売買する権利も失うことになります。
自己破産は官報によってのみ知らされるので、住民票や戸籍にその旨が記載されることはありませんし、選挙権が無くなることもありません。

06-02 借金苦の最後の手段は自己破産

自己破産には暗くダーティなイメージを持つ方が多く、誤解やデマ情報も多数存在します。その為大きく膨らんだ借金を抱えながらも債務整理に踏み切れない多重債務者が増えています。重大な事故や事件になる前に、そして暴力金融などに頼る前に、自己破産を正しく理解して下さい。
借りたお金を返すのは人間として当然のことですが、予測不能な要因によって多重債務を抱えてしまうこともあります。多重債務者を救うための法律として破産法があり、債務者本人が自ら裁判所に破産の申し立てをすることから、自己破産と呼ばれるようになりました。自己破産とは、「ダメ人間の烙印を押されること」でも「人生の敗北者」でもありません。多重債務でどうにもならなくなった人を救い、人生をやり直すチャンスを与えるための制度です。
自己破産は居住地域の地方裁判所に「自己破産」を申し立てるところから手続きが始まります。返済できる状態にないと裁判所が認めると、破産宣告を受けますが、これだけでは借金はなくなっていません。破産宣告を受けた本人に財産がある場合は、選任された破産管財人によって申立人の財産が処分され、換金されて債権者に渡されます。その後、官報に住所や氏名が記載され、約2週間程度で破産が確定します。破産宣告の後、今度は免責の申し立てを行います。問題がなければ免責が決定し、再び官報に記載されます。概ね2週間で免責が決定し、制限されていた資格や職業の権限などが復活します。

06-03 債務整理と自己破産

債務整理のうち自己破産を除く3つの方法は、整理後も借金を返済していかなければなりません。借金を返済しながら家計を「再建」する方法であるため、必然的に浪費を控えるようになります。一方、借入総額の違いはあるにせよ、自己破産は抱えていた借金を「清算」してしまう方法の為、返済しなくても良いとの甘い考えを持って選択してしまうこともあります。
甘い考えで自己破産を希望する人の場合、生活を再建しようとする意思に欠けるため、借金生活に陥ったことを深く反省することなく、これまでと変わらないお金の使い方をしてしまうようになります。気が付いた時には新たに借金を抱えている可能性もあります。このようなことから、自己破産はこれまでの生活を改め、再生しようとする意思を持たない人にはお奨めができない方法といえます。
安易に自己破産を選ぶ人がいるように、絶対に自己破産は選ばないと頑張っている人もいます。このような人は、債務整理とは自己破産を指すものだと勘違いしており、もっと早くに手をつけていれば任意整理や個人再生できる可能性があったと思われます。既に自己破産する以外に方法がない段階になっても頑なに拒否してしまうのは、自己破産に対して誤った考えをしているのかも知れません。
マイナスイメージの多い自己破産ですが、家計の再生を心から願う人にとっては非常に意味のある方法です。誤った情報を信じて敬遠するのではなく、自己破産についての正しい知識を得たうえで、改めて自分に合った債務整理の方法を検討するようにしましょう。

06-04 自己破産の疑問

自己破産は自ら手続きを進めることができるので、弁護士を通す必要がありません。破産を申し立てる書類にも難しいところはなく、弁護士費用が払えるのなら少しでも返済に回したいと考えても不思議ではありません。それでも弁護士の介入を奨めるのには理由があります。
自己破産は、債務者本人が裁判所に申し立てを行いますが、不安を相談できる弁護士に相談してから行うと安心できるでしょう。でも借金の相談ができるような弁護士を誰もが知ってはいません。どうやって探せば良いか分からない時は、各都道府県の弁護士会などが行う相談会などを利用してみましょう。信頼できそうな弁護士に出会うことができれば、その弁護士の事務所を訪問して具体的な相談に乗ってもらいます。難しいようであれば他の弁護士を紹介してもらって下さい。
借金を重ねているのですから、弁護士費用を用意するのも大変です。各地の弁護士会には法律扶助協会という弁護料や裁判費用などが出せない人の為の協会があります。弁護士を紹介してもらうと共に費用についても相談してみましょう。分割払いが可能な弁護士を紹介して欲しいとお願いすることもできます。弁護士費用にも上限が設けられるようになったので、高い報酬を支払わされることもありません。
申し立ては本人でも可能ですが、弁護士に介入してもらった場合は債権者に介入通知が送られることになり、取立てが止まります。弁護士を通さない場合は取立てが止まることはありません。また、弁護士に介入してもらうと破産や免責までの時間が短くなるというメリットもあります。

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